|
アルツハイマー病とは、βアミロイド蛋白と呼ばれる異常な蛋白質が脳全般に蓄積するために、脳の神経細胞が変性・脱落する病気です。そのために、脳の萎縮が進行し、痴呆を示すと考えられます。CT、MRIといった画像診断では、比較的早期から側頭葉内側部(海馬領域)の萎縮が目立ってくるといわれています。進行すると脳全体の萎縮が顕著になります。
かつては45歳頃から出現し、上に述べたような脳病変の特徴を示す痴呆のことをアルツハイマー病と呼んでいまいた。一方,65歳以上の高齢者でも同様の脳病変を示す痴呆があり,これをアルツハイマー型老年期痴呆として区別していました。しかし、両者には本質的な差異はないことがわかってきたために、最近では両者を合わせてアルツハイマー病と呼んでいます。
老年期の痴呆の原因はアルツハイマー病が最も多いとされています。ですから、アルツハイマー病は、特別な病気ではありません。年をとれば誰でもかかる可能性のある、脳の老化に関係する病気なのです。
もっとも、特殊なタイプとして家族性にみられるアルツハイマー病も存在します。家族性のアルツハイマー病には、いろいろな遺伝子が関与しているといわれており、第1染色体、第14染色体,第19染色体、あるいは第21染色体上の遺伝子が原因遺伝子として報告されています。
アルツハイマー病の経過
以下に、述べるのはあくまで典型例です。進行の速さはそれぞれの例で異なります。一般には、より若くして発症した場合の方が、進行が速く症状もはっきりしているといわれています。また、抑うつ、不安・焦燥、興奮、不穏、せん妄、幻覚・妄想など痴呆の周辺症状を伴うか否かでも違った経過をとります。
初期
アルツハイマー病は、「物忘れ」で始まることが多く。最初は少し物忘れをする程度で老年期にみられるふつうの「物忘れ」と大差はないのですが、次第に仕事や家事に影響が出てくる程度になってきます。日常生活上のやり慣れたこと、例えば、入浴,食事、洗面は自分でできますし、昔の記憶はかなり保たれていますが、数日前に人と会ったこと,数時間前に電話でしゃべったことは忘れてしまう。あるいは、物をどこに置いたか忘れてしまって、一日中、ものを探しているといった状態になることもあります。
それと並行して,意欲、自発性、積極性が低下して、世の中のことや周りのことに対する興味・関心が低下してくることも特徴です。さらに、場合によっては、はっきりとした抑うつ気分が見られることもありますし、逆に、理由もない幸福な気分を伴うこともあります。
中期
中期になると、痴呆がさらに進行して記憶障害がいっそう顕著になり、最近のことはほとんどおぼえられなくなり、昔の記憶さえもかなりあやふやになります。簡単な日常会話はできますが、お金の計算もできなくなり、買い物もほとんどできなくなります。また、日常生活におけるありふれた行為、例えば、電話する、ガスコンロに火をつけるといったことができなくなります。今日は何月何日で、今は、何時頃かといったことがわからなくなります。また、ひとりで外出すると道に迷って帰ってこれなくなったりします。
末期
末期になると、まったく言葉もなくなって寝たきりになり、昼もうとうととまどろみがちになります。あるいは、周囲との交流もなく,室内をうろうろと徘徊するだけといった状態になります。身体的にも弱くなり、風邪をこじらせて肺炎になったりするなど、身体合併症で死亡することが多くなります。
トップに戻る
Copyright ©2002 Nakao Clinic. All rights reserved.
|